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By GenCybers.inc

Heroku の Sustaining Engineering 移行を読み解く:背景・帰結・業界への影響

2026年2月、Heroku は sustaining engineering への移行を発表しました。本記事は公式発表、ヘルプドキュメント、Hacker News の議論をもとに、事実関係と影響を中立的に整理します。

Heroku の Sustaining Engineering 移行を読み解く:背景・帰結・業界への影響

Heroku の Sustaining Engineering 移行を読み解く:背景・帰結・業界への影響

2026 年 2 月 6 日、Heroku は "An Update on Heroku" を公開し、プラットフォームが sustaining engineering model に移行することを明確にしました。これを受けて、開発者コミュニティでは「Heroku は保守フェーズに入ったのか」という議論が急速に広がりました。

本稿の目的は一つです。感情や推測をいったん脇に置き、確認できる事実を整理したうえで、そこから見える示唆を考えることです。

本文の事実判断は公開情報に基づきます。明示的に「個人的な考察」とした箇所は、筆者の分析であり公式見解ではありません。

まず公式発表は何を言っているのか

Heroku 公式ブログ "An Update on Heroku"(更新日: 2026-02-06)の要点は、次の 4 点です。

  1. Heroku は、安定性・セキュリティ・信頼性・サポートを重視する sustaining engineering モデルへ移行する。
  2. Heroku は引き続き actively supported かつ production-ready なプラットフォームである。
  3. Dashboard でクレジットカード課金中の既存/新規顧客については、価格・請求・日常利用に変更はない。
  4. 新規顧客向けの Enterprise Account 契約は提供しない。一方、既存の Enterprise 契約とサポート契約は継続し、通常どおり更新可能。

この 4 点をまとめると、意味は明確です。「即時停止」ではなく、「成長拡大型から安定運用型への転換」であり、新機能拡張の速度は下がる可能性が高いということです。

Enterprise 契約の論点: なぜ反応が大きいのか

反応の強さは、Enterprise ラインの扱い変更に強く関係しています。

Heroku ヘルプの "What needs to be done when my Heroku Enterprise contract ends?" では、次のような移行フローが案内されています。

  • Enterprise 契約終了後、5 営業日後にオンラインのクレジットカード課金へ自動移行される。
  • 利用継続は可能だが、一部の企業向け機能は変化する。たとえば SSO は無効化されるため、事前に MFA へ切り替えることが推奨される。
  • クレジットカード決済に失敗した場合、アカウントが一時停止から削除へ進む課金フローに入る可能性がある。

つまり、既存顧客を即時に切り離すのではなく、Enterprise からオンライン課金への移行経路を用意しているわけです。だからこそ、「継続利用は可能」と「新規 Enterprise 販売の縮小」は同時に成立します。

背景: これは突然の方向転換ではない

2026 年 2 月の発表だけを見ると急転換に見えますが、2025 年の公開動向を並べると、前段はすでにありました。

同時に、Heroku Dev Center changelog には 2026 年 1-2 月も runtime、buildpack、stack セキュリティ、Heroku AI/Connect 関連の更新が継続して記録されています。これは「開発が止まった」というより、「重点が新規拡張より継続運用へ寄った」と読むのが自然です。

なぜコミュニティは「保守フェーズ」と読むのか

共有いただいた Hacker News のスレッドid=46913903)では、意見は大きく 3 つに分かれます。

  • 慎重/悲観的な見方: sustaining engineering を「成長終了」のシグナルと捉える。
  • 歴史的に見る立場: 停滞の原因は単一ではなく、初期拡大、技術的負債、組織運営の課題が複合しているとする。
  • プロダクト価値を評価する立場: いまでも Heroku の開発体験、特に "git push でデプロイ" の単純さに価値があるとする。

2026-02-07 時点で同スレッドは 360 points、248 comments を表示しており、Heroku の変化が依然として PaaS の象徴的トピックであることを示しています。

どのような影響が考えられるか

ここでは「確定している影響」と「高確率で起きる影響」を分けて整理します。

1) 確定している影響(公式情報ベース)

  1. プラットフォームの優先順位が変わった: 機能拡張優先から、安定運用優先へ。
  2. 新規 Enterprise 販売の収縮: 新規顧客向け Enterprise 契約は提供しない。
  3. 既存利用は継続可能: 現在のクレジットカード顧客は「変更なし」。一部 Enterprise 顧客もオンライン課金移行で継続可能。
  4. 企業機能の連続性に差が出る: 例として Enterprise 終了後の SSO 挙動変更があり、組織側の準備が必要。

2) 高確率で起きる影響(公開情報からの推論)

  1. 調達/アーキテクチャ審査の観点が変わる: ベンダーが sustaining engineering へ移行すると、評価軸は「革新性」から「安定性と予見可能性」へ寄る。
  2. 市場の議論は新機能より移行コストへ: ユーザーは驚く新機能より、現行運用をどれだけ合理的に続けられるかを重視する。
  3. 開発者コミュニティでのブランド認知が二極化する: 伝統的 DX への評価は残る一方、将来ロードマップへの期待は厳しく見られる。

個人的な考察(事実認定ではない)

以下は個人的な考察であり、公式見解ではありません。投資・調達・移行の助言を意図するものでもありません。

今回の変化を表すキーワードは、「終わり」ではなく 役割の再定義 だと考えます。

  • Heroku にとっては、成長プラットフォームから、信頼性・保守性・課金継続性を重視する定常プラットフォームへの移行。
  • ユーザーにとっては、「何が新しいか」より「リスク管理とコストの透明性」が意思決定の中心になる。
  • 業界にとっては、PaaS 競争がデプロイ体験だけで決まる時代ではなくなり、AI 統合、データ層、商用モデルの柔軟性が同時に問われる。

つまり Heroku 事例の本質は、良し悪しの単純評価よりも、業界が成長局面から最適化局面へ移るとき、製品ストーリーとビジネス戦略、顧客期待が同時に書き換わる点にあります。

まとめ

2026 年の Heroku 発表は、サービス停止というより「戦略の収束」と捉える方が正確です。

観察する際は、次の 3 点を分けて考えることが重要です。

  • サービスは即時に使えなくなるのか(現時点では違う)
  • 新規 Enterprise 販売は縮小したのか(はい)
  • プラットフォームは保守され続けるのか(はい。ただし sustaining engineering 優先)

この 3 点を分離して見るだけで、議論のノイズはかなり減ります。


参考資料

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